進化する糖尿病治療法

糖尿病の3大合併症である「腎症」の考え方が変わってきた

東京慈恵会医科大学の坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

 アルブミンが尿に漏れる量がある一定量を超えると、健康診断では、タンパク尿として検出されます。これが出たら、腎機能の低下を疑います。

 健診では、クレアチニン値も腎機能のチェックに役立ちます。クレアチニンは筋肉の老廃物で、糸球体によってろ過され、尿に混じって体外に排出されますが、糸球体が壊れて腎機能が低下すると、血液中のクレアチニンが増加するのです。

 ただ、タンパク尿もクレアチニンも、異常が出てくるのは糸球体がある程度壊れてから。早期に腎機能を調べるには、健診に含まれない「尿中微量アルブミン検査」で、尿内にアルブミンが微量に漏れ出ていないかをみなければなりません。

 さて、ここまでが、かねて言われていた「糖尿病性腎症」の話。繰り返しになりますが、糖尿病性腎症は、血糖コントロールが悪くて糸球体が壊れて起こる。「微量アルブミン検査で基準値を上回る」「健診などでタンパク尿が出ていたり、クレアチニン値の上昇がみられる」などによって判明します。

2 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事