進化する糖尿病治療法

糖尿病の3大合併症である「腎症」の考え方が変わってきた

東京慈恵会医科大学の坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

■タンパク尿が出ていなくても腎臓が悪い可能性も

 一方、いま指摘されているのが「糖尿病性腎臓病」です。英語では「DKD=Diabetic Kidney Disease」と呼ばれています。このDKDは、「糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy)」のような経過をたどらないものも含みます。「糖尿病が部分的にでも関係する腎臓病」と考えればいいでしょう。

 つまり、従来は「腎機能低下=タンパク尿が出ている/クレアチニン値が高い/微量アルブミン値が高い」だったのが、DKDでは「微量アルブミンも尿タンパクも出ていないが、腎機能が悪い」ケースもあれば、「微量アルブミンも出ていて、タンパク尿も出ていて、腎機能が低下している」というケースもあるのです。むしろ前者のような、典型的な経過をたどらないケースが増えてきています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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