緑内障は発症していても気づかない 40歳以上の20人に1人が

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日本人における中途失明の原因の1位が緑内障だ。全体の28・6%を占め、2位の網膜色素変性の14%を大きく上回る。「たじみ岩瀬眼科」(岐阜県多治見市)の岩瀬愛子院長に聞いた。

「緑内障になるはずがない。そう思っている人が非常に多い。最大の誤解です」

 日本緑内障学会が多治見市で行った疫学調査では、40歳以上の20人に1人が緑内障という結果だった。

「なるはずがない」と思う理由として、自覚症状の乏しさが挙げられる。緑内障は視神経の障害が起こり、視野が欠ける病気だが、たいていの場合、症状はゆっくり進むので、気づきにくい。

「左右の目で緑内障の進行スピードが異なります。一方の目の緑内障が進行していても、もう一方の目の視野で補ってしまい、見え方の変化になかなか気づきません」

 視力が良く、自分では普通に見えているつもりでも、「緑内障ではない」と言い切れないのだ。

■眼鏡が合わなくなったら眼科へ

 さらに「視野が欠ける」という症状についても、誤解がある。

「見えないと黒い斑点が出ると思われがちですが、実際はぼんやり見えないところが出てくる。例えば、近視の人は眼鏡を外すとぼんやりしか見えないですが、そんなぼんやりした所が視野に部分的に出現するので視野が欠けても分からない」

 緑内障で視神経の障害が起こると、治療を受けても元に戻らない。つまり、失った視野は取り戻せない。だから早期発見・早期治療が非常に重要だ。そして、自覚症状に頼れないからこそ、早期発見には検査以外方法がない。会社や自治体の健診には緑内障の検査(眼底・眼圧検査)が含まれていないこともある。発症リスクが高くなる40歳以上は、定期的に検査を受けるべきだ。

「たいていの人は『眼鏡が合わなくなった』『老眼が始まった』と思ったら眼鏡屋に行きます。しかし、その前に、眼科で検査を受けるべき。見えづらさを感じたら、緑内障に限らず、何らかの目の病気が考えられます」

 緑内障の場合、一般的に3~5年に1回の定期的な検査でいいが、次の項目に該当する人は、緑内障発症のリスクが高い。見え方に問題を感じていなくても、短いスパンでの検査が望ましい。

■眼鏡なしで視力0.1以下は特に要注意

【強い近視】

 近視は緑内障のリスク要因のひとつ。眼鏡を外して0・1が見えない人は特に要注意だ。

「強い近視と緑内障の早期は区別がつかないことがあります。眼科に通ってもらい様子見になりますが、リスクが高いと事前に知っていることで、いざ緑内障の症状がみられた時に、すぐに対応できます」

【家族に緑内障がいる】

 緑内障には、遺伝的要因もある。

【視神経乳頭陥凹拡大で要精密検査と言われた】

 視神経乳頭陥凹拡大は視神経の中央部のへこみが大きくなっている状態で、生まれつきそういう人もいれば、緑内障のサインである場合もある。

 だから精密検査が必要なのだが、よくあるのが「精密検査は異常なし。だから大丈夫」と思ってしまうケース。精密検査の時は大丈夫でも、その後ずっと緑内障にならないわけではない。視神経乳頭陥凹拡大と指摘されたら、その都度検査を。

【検査で眼圧が高いと言われたことがある】

「眼圧は上下するので、精密検査では低いことがあります。その後も繰り返し眼圧を確かめるためにも、検査を受けた方がいいでしょう」

【ボールが目に当たるなどの外傷を受けたことがある】

 子供時代に外傷を受け、その時は異常なしでも、数十年経って緑内障などの病気を発症するリスクが高くなる。

 一度も検査を受けたことがない人は、すぐに検査の予約を。

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