遺伝子治療薬はここまで来ている

体内で必要な遺伝子を作り続ける新薬は生涯に1度の投与で済む

「ウイルス」という単語を耳にしない日はないほど、世間は新型コロナウイルスの話題一色です。

 前回、「デマに振り回されないようにしましょう」と注意喚起した直後、風説によって小売店からトイレットペーパーが消えるという現象が起こりました。情報の拡散スピードの速さと、集団心理の恐ろしさを改めて感じ、情報の正確性を自分自身で確かめることが、いかに大切かということを痛感しました。

 これまで、「ゾルゲンスマ」という脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する新しい遺伝子治療薬について何度か紹介しました。ゾルゲンスマは今年2月26日に製造販売承認が下りたばかりの薬で、超最新の薬といえます。

 前回はこの薬が患部に薬を運ぶために「ウイルスベクター」を使っている点が画期的だとお話ししましたが、ゾルゲンスマには他にも画期的なところがいくつもあるのです。

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神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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