Rさんが61歳の秋、風邪をひいていないのに声がかすれました。医師会の会合でなじみの耳鼻科医に診てもらったところ、「声帯の近くに腫瘤があります。B大学病院を紹介します」と言われました。B大学病院の耳鼻科では、「組織を採って調べますが、がんであることは間違いないと思います」と告げられ、それから、がんとの闘いが始まったのです。
手術の場合、声帯を含めて喉頭を全摘出しなければならなかったため、Rさんは放射線と抗がん剤治療を選びました。40日間の放射線治療では、開始して10日を過ぎた頃から喉の痛みが出始め、それが2カ月間ほど続きました。幸い治療は完遂できたものの声はかすれたままで、体重は10キロ減りました。それでも、自身の診療所は3カ月間休診した後に再開できました。
しかし、その後は2カ月おきくらいに微熱と咳が出て、誤嚥性肺炎を起こしました。抗生剤を飲んで、いずれも3~4日で熱は下がりましたが、診療所はたびたび休診しなければなりませんでした。
がんと向き合い生きていく