上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

患者を守るためにも医師の「働き方改革」は重要な課題

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の騒動が続く中、「テレワーク」という言葉をよく耳にするようになりました。情報通信技術を利用した場所や時間に制約されない働き方のことです。新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、出社せずに自宅で仕事をする自宅利用型テレワークが多くの企業で推奨されました。

 今回の新型コロナウイルスに対しては、医師がテレワークをするわけにはいきませんが、以前から医師のテレワーク支援システムが試されていました。政府が推進している「働き方改革」の一環です。

 医師のおよそ1割は年間の時間外労働が2000時間を超えているといわれています。これは、「過労死ライン」とされる年960時間の2倍以上の数字です。政府は、医師も働き方改革によって「将来的に過労死ラインを下回る水準を目指す」としています。ただ、「患者を救う」という医師の使命や向上心を考慮して、厚労省の計画書では一般的な医師は年間960時間、特定の医療機関の医師、研修医や高度な技術習得を目指す医師には、年間1860時間の時間外労働を認めています。

1 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事