20世紀以降のパンデミック史

アジア風邪は150万人が亡くなる20世紀2度目のパンデミック

アジア風邪が猛威を振るい全国で休校が相次いだ(昭和32年6月)(C)共同通信社

 さらに、その10年後の1968年には今度はH3N2亜型ウイルス(香港型)が出現し、100万人以上の命を奪った。これが3度目のパンデミックだ。それ以降、それまでのアジア型ウイルスに代わって、香港型ウイルスが新たに季節性インフルエンザの地位を確立した。その間に、スペイン風邪の原因ウイルスである、H1N1亜型ウイルスが再び流行して1977年にソ連風邪を、2009年には、28万4000人が亡くなる比較的小規模な感染爆発を起こした。

■ワクチンが開発され抗生物質で抑制

「1968年の香港風邪は、アジア風邪と同じように各国への感染拡大は早かったものの、致死率も低く、過去のパンデミックのような爆発的なアウトブレークは起こしませんでした。理由は、前年の季節性インフルエンザとウイルスの型が似ていたため、そのときに得た免疫により身を守れた人が多かったと考えられています」(林雅之院長)

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