緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

中国で正式に認められるアビガンは日本でも切り札になるか

肺炎患者を治療する武漢の医療関係者(C)新華社=共同

 中国で行われた臨床試験では、他にも解熱までの期間や咳が緩和する期間の短縮が確認され、「明らかな副作用も見られず安全性は高い」と報告されている。アビガンが新型コロナウイルス治療の切り札になる可能性はある。ただ、日本でもすぐに一般で投与が始まるかといえば現状では難しいと予想されている。

「現在、日本では藤田医科大学と群馬大学が新型コロナウイルスに対するアビガンの臨床研究をスタートさせています。しかし、もっと大規模な臨床試験を行って安全性がしっかり確認されてからでないと、新型コロナウイルス治療薬として一般に広く使われる可能性は低いといえます。早い段階で使われるとすれば、年齢的に催奇形性をそこまで考慮しなくてもよいうえ、重症化や死亡リスクが高い高齢者が対象になることが考えられます」(神崎浩孝氏)

 日本でアビガンを投与されている患者は80人ほどで、ウイルスが大量に増殖しきっていない段階の患者には効果がみられるといわれている。

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