人生100年時代の歩き方

眠気、せん妄、失神…意識障害を起こす持病の薬はこれだ

事故当時、現場を調べる群馬県警の捜査員(C)共同通信社

 ショッキングな判決だった。

 前橋市の県道で2018年1月に乗用車で女子高生2人をはねて死傷させたとして、過失運転致死傷の罪に問われた男性(87)の判決公判が前橋地裁で開かれたところ、男性に無罪が言い渡されたのだ(求刑は禁錮4年6月)。

 事故などの概要は〈自動車事故の流れ〉を参照してほしい。判決の根拠は、「薬の副作用で血圧が下がったことが事故の原因の可能性が高く、予見できなかった」というもの。副作用で血圧低下やめまいなどの意識障害を起こす薬は少なくない。高齢者はなおさらで、いつ自分が加害者になっても不思議はないのだ。

 男性が服用していたのは、排尿障害の薬。排尿障害というと、男性なら前立腺肥大症が典型だ。女性も含めて膀胱が異常な働きをする過活動膀胱もよく知られる。過活動膀胱は、40歳以上の8人に1人が悩むありふれた症状だから他人事ではないだろう。

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