パンデミックの基礎知識 人間同士の感染を止めても根絶できない

新型コロナ対策でマスクを着用する人々 (C)日刊ゲンダイ

「豚の平均体温は39度でちょうど鳥と人間の中間に位置し、しかもヒトインフルエンザウイルスが人間の細胞内への侵入口となるレセプター(受容体)と鳥インフルエンザウイルスのレセプターの両方を持つ。つまり、ある豚が鳥と人間のふたつのインフルエンザに同時感染することで、豚の体内で遺伝子が混ざり合う『遺伝子再集合』や『突然変異』が起こり、人間の体温でも感染拡大する新型インフルエンザが登場する可能性がゼロではないのです」

 実際、豚にはさまざまなウイルスが感染していることがわかっている。従来なかったようなウイルスも発見されており、2009年の新型インフルエンザは豚から人間にうつり、感染拡大したことが報告されている。

「こうして誕生した人獣共通感染症はほぼ根絶が不可能です。病原体となるウイルスの人同士の感染を抑えられたとしても、動物へ感染し時期を見て再び人間に感染するからです。エボラ出血熱、MERS(中東呼吸器症候群)、ラッサ熱、SARS(重症急性呼吸器症候群)、HIV(後天性免疫不全症候群)などいずれも動物から人間にもたらされた人獣共通感染症です。その中には流行が下火になった後に再び猛威を振るったジカ熱のような病気もあります」

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