上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「おなら」が臭い人は心臓疾患にかかりやすくなる可能性

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 他にも、心不全の患者60人と健常者20人の便を調べた研究では、心不全患者の便には病原性が高い細菌が増えていて、心不全の病状が悪い患者ほどその傾向が強いことがわかっています。やはり、心臓にとって腸内細菌のバランスは重要なのです。

■アンバランスな食生活による便通異常が病気につながる

 腸内環境を整えるために大切なのが「食生活」です。いわゆる生活習慣病がベースで起こる心臓疾患は単一の要因で発症するケースはほぼありません。高血糖、高血圧、高コレステロール、肥満の4つのリスク因子のいずれかが重なって発症する場合がほとんどで、重複するリスク因子が多ければ多いほど発症しやすくなります。糖尿病は単一で心臓疾患を招くリスクはありますが、やはり多くは高血糖だけでなく、いくつかの因子を抱えているのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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