セックスが痛い

服を脱いてベッドの上でセックスしなくてはと誰が決めた?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 セックスが痛くて悩んでいる女性を少しでも減らしたい。日夜「セックスの痛み」について考えているわけですが、そんな中で思ったことがあります。「前戯、挿入、射精」というセックスのパターンって、過去の時代につくられたイメージであって、カップルによってそれぞれ違ってもよいのだ! ということを。

 国立がん研究センターの2019年統計予測によると、女性のがん罹患のトップは乳がんで、罹患数は年々増加。どの病気でも同じですが、術後のQOL(生活の質)をいかに保つかが、近年、重要視されています。

 乳がんの場合、治療の内容によっては、体調が落ち着き普段の生活に戻っても、更年期のような症状に悩まされることがあります。その症状のひとつが、膣の乾燥や萎縮。すると、普段の生活でもヒリヒリ感やこすれた感じがあり、セックスでは痛みが生じやすくなります。

 最近は医師が事前に「こういう症状が出ますよ」と伝えてくれる場合もありますが、心構えができていても、急に性交痛を体験するショックは大きいものでしょう。日常生活が普通に戻っていく中、性生活だけがポツンと元の生活に戻らず取り残されてしまうのは、つらいです。

 セックスの痛みは、当然ながらセックスをしなければ感じない。だから、セックスのときだけ何とか耐えられればと、放置する人もいるかもしれません。または、性生活を諦めてしまう人も。しかし、痛みがない、もしくは痛みが少なければ続けたいと望む場合は、工夫次第で楽しめる可能性があるのです。

 パートナーに痛いと伝える。挿入に時間をかける。潤滑ゼリーを活用する。無理のない体勢を試す。枕やクッションを活用する……。体の外見的な変化が気になる場合は、ランジェリーに限らず、服を着たままでもいい。

 ただ、一方で私は思うのです。服を脱いでセックスするって誰が決めた? ベッドの上だけって誰が決めた? 挿入だって着地点ではない。自分たちなりのスタイルを考えるのが、セックスを楽しめるコツなんです。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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