緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

新型コロナウイルス検査で注目集める「血液抗体検査」とは

PCR検査は感染リスクがある(C)ロイター

 また、一定数の住民に血液抗体検査を行うことで、その地域でどの程度の割合で感染しているかを把握。学校再開など政策変更の判断材料になると考えられている。

 では、それほどメリットのある血液抗体検査がこれまで活用されてこなかったのはなぜか。

「最大の理由は、新型コロナに感染したら、免疫ができて当面は感染しないと言えるかはっきりしないことです。一般的にウイルスが体内に侵入すると、病原体の一部を抗原として認識する抗体がつくられます。最初はIgMと呼ばれる抗体が血液中に大量に放出され、数週間以内にほとんど消失します。感染がある程度進むと、IgGと呼ばれる抗体の産生が始まり、急速に濃度が増していく。IgGは体内からウイルスが完全に駆逐された後も、長期にわたって血液中に存在し続け、再びウイルスが侵入してきても、IgGがただちに攻撃を開始します。つまり免疫が確立したということです」(永田教授)

2 / 8 ページ

関連記事