緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

学校にマスク持参の科学的根拠は? “手作り”で防げるのか

登校には「マスク」が必須
登校には「マスク」が必須

 文科省が作成した学校再開に向けたガイドラインを聞いて、仰天した人も多いのではないか。

 咳き込む子供は仕方ないが、近距離での会話や発声が必要な場面でも、できる限りマスクを着用するよう求めており、登校には「マスクが必須」といわんばかりの内容だ。それに合わせて春休み期間中に各家庭でマスクを作るよう呼びかけたほか、家庭での対応が難しい場合を想定し、社会教育施設や子育て支援関係者などにより、手作りマスクの普及に努めてほしいとしている。手作りで防げるとは驚きだ。ガイドラインにはマスクが入手できない児童・生徒がいじめられるようなことがないよう、注意を促しているが、そのための解決策は何も書かれておらず、無責任極まりない。

 今は医療従事者ですらマスクを手に入れるのが困難だ。どうすればいいというのか。そもそもいつから、マスクで新型コロナウイルスを防げるということが学校現場で強要されるほど、科学的根拠を持つ医学常識になったのか? 長く地域医療と公衆衛生に携わってきた岩室紳也医師が言う。

「感染していない人がマスクをすることでウイルスを防げるという事実はありません。それが本当なら医師や看護師が新型コロナウイルスに感染することはないはずです。現実には日本でも医師や看護師は感染していますし、イタリア、フランスでは多くの死者を出しています。感染している人がマスクで他人を感染させるリスクを減らせるのは、飛沫に含まれるウイルスの飛散を防ぐからです。ただ、ウイルスはとても小さく、飛沫が乾くとマスクの網の目を楽々通ってしまいます」

「マスクをしていれば、無意識のうちにウイルスに汚染された手や指を顔に触れるのを防いでくれるので有効だ」という意見を耳にする。しかし、顔にウイルスがついたとしても、感染するわけではない。極端な話、手や指がウイルスだらけでも、直接その手や指を口の中や鼻の中に突っ込んだり、目をこすったりしない限り感染はしない。

「むしろ、マスクをすることで安心して、その表面を触り、そこに付着したウイルスを吸い込む方がよほど怖いのです」

 問題は飛沫感染やエアロゾル感染ばかりを気にしていて、接触感染を軽く考えることだ。

「ある学校の登校日では、体育館の床に生徒を間隔をあけて座らせていました。飛沫感染を恐れてのことでしょうが、いくら床をきれいにしても、その場で生徒や教師の口からはウイルスを含んだ飛沫、唾液が飛んでくる。床に落ちたウイルスに接触感染するという視点がまったく抜け落ちていて心配になりました」

 もし飛沫感染やエアロゾル感染によるリスクが高いのなら、すでに満員の通勤電車で感染爆発が起きているはず。それがないのは、感染の多くが接触感染によるものということではないか。

「私は、枝豆やポテトフライなどを直接手で触れるのをやめるとか、教科書やノートは貸し借りしないとか、食事の直前やトイレの後は念入りに手洗いをするということを徹底させることで、体内に入るウイルス量を減らすことの方が大事だと考えます。マスクをしなければ学習の機会を奪われかねないような雰囲気をつくってはいけません」

 文科省はマスク着用を子供たちやその保護者らに奨励する前に、その科学的根拠を示すべきではないか。

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