上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

便秘を招く生活習慣が突然死するリスクをアップさせる

順天堂大学医学部付属順天堂医院心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 近年、働き盛りの40代で突然死するケースが増えています。現代とは違い、昭和の頃は深夜も営業しているコンビニエンスストアがなく、夜中に食事をすることが難しい時代でした。また、金銭的にも余裕がない家庭が多く、深夜0時ごろまでに終電で帰宅する人がほとんどでした。そのため、ある程度は睡眠時間が確保されていました。こうした環境で生活していることもあり、当時の生活習慣病は遺伝的な要素を含めて加齢に応じて表れるものでした。

 しかし、いまは24時間いつでも手軽に食事ができます。深夜までスマホで映画や動画を見たり、ネットサーフィンできる環境です。どんな年齢層でも食生活や睡眠といった生活習慣の悪化を促す要素が揃っています。こうした腸内環境を乱す生活を若い頃から続けていると、40代くらいで動脈硬化が要因となる心臓血管疾患で突然死するリスクが高くなるのです。

 そんな現代だからこそ、生活習慣を改善して腸内環境を整えることが心臓を守ることにつながります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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