では、問題は何か。都市部を中心に広がっているがん治療専門クリニックです。そういう小規模なクリニックで院内感染が発生すると、休診によってがん治療が中断される可能性があります。放射線も分子標的薬も、通院での治療がベースになっているのです。
放射線でいうと、3次元でピンポイントでがんに照射する計画を立てます。正常な部位への影響を極力避け、副作用が起こるリスクを抑えながら治癒を目指します。
それが定位放射線と呼ばれる最新の放射線の治療計画で、たとえば前立腺がんなら、照射日数は5日で、1日おきに、2週間で済みます。従来の放射線だと、38回に上ります。土日は休みですから、治療期間は8週間と長い。
治療期間の長短はありますが、計画通りに放射線を照射できないと、治療を再開しても、その後の治癒率や生存率が下がる恐れがあるのです。放射線の照射量が5%違うだけで、治癒率が変わるという報告もあります。仮に1週間でも治療が中断されると、非常に問題でしょう。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵