進化する糖尿病治療法

巣ごもり生活で自炊が増えて結果的に健康度が上がった

臨時休業を告知する飲食店の張り紙(C)日刊ゲンダイ

■作り置きの習慣を身に付けるチャンスと捉える

 ところが3年前、離婚。同じ頃、会社が引っ越しました。新しい職場がある地域は飲食店が少なく、あるのはチェーン展開している牛丼屋やカレー屋、ファストフード店、立ち食いそば屋。ほかの選択肢となると、弁当屋しかない。牛丼にしても、カレーにしても、弁当にしても、もったいなくて完食してしまう。すると、どうしても塩分や脂肪が多い食事になる。50歳を越えているのも影響し、体重が増えるばかりか、血糖値と血圧がじわじわ上昇し、健康診断のたびに「生活習慣を改善しないと!」と言われるようになりました。

「本当は定食を食べたくても、今の職場環境では難しい。料理は好きなんですが、疲れて帰ってきて自宅で作るのも面倒。夜も外食かスーパーの総菜かになってしまう」

 健康面の心配はあるけど、打つ手がないと思っていたFさん。しかし、新型コロナウイルス対策で会社が3月半ばからリモートワークになりました。週1回出社する時も、電車のピーク時を避けて昼すぎに家を出るように。そして、不要不急の会食は禁止という会社からの通達。それらによって、Fさんは1日3回、家で食事をすることが普通になりました。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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