英首相はICUへ…新型コロナ肺炎はなぜ急激に悪化するのか

自身のツイッター(写真)では元気な姿を見せていたジョンソン英首相(C)AP=共同

 新型コロナウイルスによる肺炎は、ウイルスによる直接的な肺の障害だけで起きるわけではない。ウイルスを排除するための免疫組織が暴走し、その結果としてあらわれる炎症が、肺の細胞に強いダメージを与える場合もあるという。

「このように、病原体の侵入や薬の投与などが引き金となって、サイトカインが過剰に産生されて起きる異常事態をサイトカインストームと呼びます」

 サイトカインとは細胞から分泌されるタンパク質のこと。目標とする細胞にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、細胞死、機能発現など多様な細胞応答を引き起こす。その中でさまざまな炎症症状を引き起こすのが炎症性サイトカインだ。

「炎症性サイトカインにはIL―1、IL―6、TNF―αなどさまざまな種類があります。本来は病原体を攻撃するなどして身を守る働きがあるのですが、血液中にこれらの炎症性サイトカインが大量に放出されると、その作用が全身に及び、血液凝固や血圧の上昇などが起きます。最後には多機能不全に至り、ひどい場合には致死的な状態にまで陥るのです」

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