Dr.中川 がんサバイバーの知恵

志村けんさんは1日3箱 喫煙者は新型コロナ死亡リスクが3倍

志村けんさん(C)日刊ゲンダイ

 志村さんは2016年に肺炎を患うまで多いときで1日に3箱を吸うヘビースモーカーだったと報じられています。当時66歳。仮に少なく見積もって、20歳から46年間、40本を吸い続けたとすると、1日の本数と喫煙年数の積で示される喫煙指数は1840。700超でがんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクが高くなりますから、志村さんがCOPDだったとしても不思議ではありません。

 喫煙者には、ある受容体が発現することがわかっています。その状態で新型コロナに感染すると、ウイルスが肺の細胞に侵入し、攻撃にさらされやすくなると考えられています。

■50歳で禁煙すれば寿命は6年延びる

 COPDの人は、新型コロナ以外のウイルスや細菌の肺炎を起こしやすく、重症化しやすい。しかも一度発症すると、再び肺炎になりやすいこともわかっています。こうしたことが重なって、志村さんは負の連鎖により、命を失ったと思えてならないのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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