新型コロナの重症患者でニューヨークの病院は限界を超えた状況になっています。そんな中、それ以外の患者の受け入れ数が減っていることが分かり、医療関係者は頭をひねっています。
ニューヨーク・タイムズによれば、ニューヨーク周辺の病院や医療関係者から取ったアンケートで、約半数の医療者が「心臓発作の患者が4割から6割減った」と答えたとのこと。さらに急性の盲腸炎や胆のう炎も減少しているというデータもあるそうです。
ところが、ニューヨーク市消防局のデータはそれとは真逆です。心臓発作の緊急搬送が昨年の同じ時期と比べ4倍にも増えているというのです。
心臓発作の緊急搬送が増えているのに、なぜ病院での受け入れが減っているのか? その答えは、病院にたどり着くまでに亡くなる人の数が劇的に増えているからです。搬送途中での死亡率は昨年の同じ時期の38%から、今年は72%と2倍近くになっています。
実はニューヨークではコロナ患者の急増に伴い、搬送途中で亡くなった患者は病院ではなく、検視官の元に直接送られるよう法令が変更されました。だから心臓発作の搬送が増えても、病院での受け入れ数に反映されていないのです。
そして救急搬送中に亡くなるケースが激増した最大の理由は、現在市内のほとんどの病院がコロナ専用病棟のようになってしまい、それ以外の既往症を持つ患者は、病院に行く方が感染の危険があると考えて、相当重症になるまで我慢しているのではないかとみられています。もし本当だとすると、コロナのパンデミックによって、関係ない病気の人まで巻き添えになっていることになります。
もうひとつの問題は、コロナ患者も心臓発作で亡くなることが多いのですが、検視官には感染の検査をすることはできません。つまりコロナが原因の心臓発作死かどうかはわからず、発表される数字にも反映されないということです。
コロナのパンデミックはこうした深刻な医療の問題もはらんでいるのです。
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