上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

COPDを抱えていると心臓疾患での死亡リスクがアップする

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスによる肺炎の重症化リスクのひとつとして、最近よく耳にするのが「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)です。

 COPDは、たばこなどの有害物質を長期間にわたって吸入することで、肺に慢性的な炎症が起こる疾患です。空気の通り道である気管支の先にある肺胞が破壊され、酸素と二酸化炭素の交換がスムーズにできなくなります。呼吸困難などの症状が表れるうえ、全身にさまざまな合併症を招きます。心臓疾患はその代表的な病気です。

 COPDの患者さんは心不全を合併しているケースが多く、COPD患者の約30%がうっ血性心不全の所見があるとされています。また、COPDの患者さんは、そうでない人に比べて心血管疾患による死亡が2・07倍で、死亡原因になった心血管疾患では、うっ血性心不全が4・09倍、不整脈2・81倍、急性心筋梗塞1・51倍と、いずれもリスクがアップしていたという研究報告もあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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