新型コロナ予防にカキと玉ネギ?医師注目のケルセチンとは

閑散とした築地場外…コロナ感染拡大が鎮まるのはいつ?
閑散とした築地場外…コロナ感染拡大が鎮まるのはいつ?(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染拡大はいつ鎮まるのか。とにかく今できる対策をやるしかない。そのひとつに、亜鉛が多く含まれるカキと玉ネギ成分のケルセチンの摂取を加えてはどうか? 

 有松医科歯科クリニック(金沢市)CEOの山嶋哲盛医師は、脳科学研究の第一人者。海外のアルツハイマー病ジャーナルの編集委員長をやっており、最新医学情報を常にチェックしている。

「感染症は専門ではないものの、新型コロナの興味深い研究発表もあり、これらもチェックするようにしています」

 着目したのが、抗マラリア薬である塩酸クロロキンを用いた臨床試験だ。抗菌薬アジスロマイシンとともに投与すると、新型コロナの消失時間が早くなったという報告が出ている。有意差がなかったという報告も出ているものの、米国では3月28日、緊急使用許可(EUA)制度で臨床試験以外の使用を承認。EUA承認の新型コロナ治療薬としては4月6日時点で唯一、需要が急増している。

 また、欧州医薬品審査庁は4月1日、原則として臨床試験のみに使うことを承認した。

 山嶋医師が言う。

「効果があるのではと言われていても、長期で見ないと本当に有効か否かは分かりません。ただ、治療薬として塩酸クロロキンを採用した韓国の死亡率が極端に低いことが世界的に注目されているのは事実です。塩酸クロロキンは、ウイルス増殖抑制効果がある亜鉛の細胞内への流入を促進するだけでなく、ウイルスの宿主細胞への出入りを阻害するため、理論的に期待が持てる。ただし、副作用が強いので使いづらい薬でもあります」

■食品なので副作用もなし

 循環器疾患があると、服用の仕方によっては不整脈など命にかかわる副作用を引き起こすことがある。また、病院での処方薬なので、試したくても簡単に入手できない。

 そこで山嶋医師は、塩酸クロロキンと同様、亜鉛の細胞内流入を促進するケルセチンに注目した。玉ネギやリンゴの皮に含まれるポリフェノールの一種だ。

 ウイルスはヒトの細胞に入ると細胞膜にくっつき、ヒトの細胞が持つタンパク合成システムを横取りして、ウイルスのRNAとタンパクを量産させる。

「かつてSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時、SARSの治療薬の研究で、亜鉛がウイルスのタンパク・RNA合成システムの転写因子RdRpを阻害し、ウイルスの増殖を抑制することが明らかになりました。新型コロナは遺伝子がSARSと酷似する、同系のRNAウイルス。推定ですが、SARSと同様、亜鉛が新型コロナの増殖を抑制できる可能性がある。遺伝子変異を来しやすい新型コロナに対しては、むしろワクチン以上のパワーを発揮するかもしれません」

 ところが、亜鉛は血中に取り込まれても、細胞内には流入しづらい。前述の通り、塩酸クロロキンは亜鉛の細胞への流入を促進するが、一般の人には使いにくい。そこで、ケルセチンなのだ。

「実は、ケルセチンにも亜鉛を細胞内へ流入する働きがあるのです。塩酸クロロキンと同じ働きを持ち、かつ食品成分であり、健康食品でもあるケルセチンは、副作用の心配がない。しかも、安価で簡単に手に入るサプリメントもたくさん出ている。亜鉛とケルセチンが新型コロナに本当に効くかは分からないものの、予防対策として、試してみる価値は十分あると考えています」

 亜鉛とケルセチンを一緒に取る。山嶋医師はこの数週間、妻や子供、病院職員たちとともに、ケルセチン500ミリ、亜鉛10ミリ、免疫力の向上に役立つビタミンC1000ミリを毎日1回、摂取しているという。

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