緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

新型コロナウイルスは致死率9%のSARSと何が違うのか?

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

「ウイルスがヒトの細胞に感染するためには、ヒトの細胞が持つタンパク質分解酵素によって、Sタンパク質が切断される必要があります。新型コロナウイルスは、SARSウイルスとは違うタンパク質分解酵素でも切断できると報告されています。そのため、新型コロナウイルスは、下気道だけでなく上気道でも感染・増幅が可能となったため、軽症でも他の人に感染させられる人が多くなって世界中に広がったのではないか、と言われています。加えて、感染が広がった要因としては、ヒトの受容体とより強く相互作用できるようになったことや、その他にも宿主の細胞に侵入するための入り口(受容体)が、ACE2と呼ばれるタンパク質以外にも活用できるようになった可能性も推察されています」

 Sタンパク質はウイルス表面にあって、免疫のターゲットとなりやすい。そのため、宿主の免疫から逃れるために、S遺伝子は絶えず進化し続けている。ウイルスは遺伝子の突然変異率が高く、その逃げ足はかなり速い。

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