がんと向き合い生きていく

介護の現場でも新型コロナによる混乱と深刻な状況が続いている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 しかし、介護現場、訪問系サービスの大変さについてはあまり語られていません。そうした状況の中、4月10日に「NPO法人暮らしネット・えん」らの方々から、安倍首相あてに「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」が提出されました。その一部を紹介します。

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 現在、特別養護老人ホームやデイサービス(通所介護)などの介護現場をはじめ、ケアマネジャーや居宅サービスの利用者にも感染が広がっています。

 感染による自宅待機、濃厚接触など感染の疑いがある利用者(家族を含む)への対応にも苦慮しています。利用者の食事や排泄、身体の清潔など日常生活を維持し、命と健康を守るために、ホームヘルパーの訪問は最後の砦というべきであるにも関わらず、事業所への行政のバックアップはあまりに貧弱と言わざるをえません。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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