がんと向き合い生きていく

介護の現場でも新型コロナによる混乱と深刻な状況が続いている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 厚生労働省は3月6日、事務連絡『社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について』で「訪問介護事業所等における対応」を示しました。そこでは感染が疑われる者や濃厚接触が疑われる利用者に(保健所と相談した上で)サービスを提供する場合、感染防止策を徹底することが挙げられています。しかし、訪問系サービスは、医療職が常時配置されている施設サービスと介護を行う環境・条件が決定的に異なります。しかし、事務連絡では、ホームヘルパーが単独で介護する訪問系サービスに特化した配慮がなされていません。

■分からないことが多い現状が不安を募らせる

 また、入手困難な使い捨てマスク、消毒液や防護衣等の準備など、費用負担を強いるのでしょうか。私たちは強い違和感を抱いています。訪問系サービスは弱小事業所が多く、近年は閉鎖・倒産が相次ぐ状況にあります。それでも緊急事態の中で、地域で暮らす要介護高齢者を感染から守り、生活を保つために最前線で努力しています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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