新型コロナで知っておきたいこと ウイルス・ゲノム学者に聞く

京都大学ウィルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授(左)と東海大学医学部の中川草講師(提供写真)

【2】新型コロナウイルスの変異が速く、病原性が増しているというのは事実ですか?

中川 新型コロナウイルスの変異が蓄積する速度は、その他のコロナウイルスと同じで、特に速くはありません。ウイルスはDNAウイルスとRNAウイルスに大別され、新型コロナウイルスやSARSコロナウイルスはRNAウイルスです。RNAウイルスは塩基配列が変わりやすく、変異が蓄積する速度はヒトの核ゲノムのDNAと比べて100万倍速いといわれています。一方で、RNAウイルスでもコロナウイルスは校正修復機構があり、組み換えで変異が戻る現象もあることから、一般的なRNAウイルスに比べると変異しにくいと考えられます。

 事実、英国エディンバラ大学の研究者らの報告では、新型コロナウイルスの進化速度は、SARS、MERSと比較して、ほぼ同じで新型コロナウイルスのRNAゲノムに1年間で蓄積される塩基変異は3万個の塩基のうち24個程度と推定されています。

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