進化する糖尿病治療法

ラグビー流大選手を見習いたい 時間がある今料理を始めよう

外食したくても出来ないなら…
外食したくても出来ないなら…(C)日刊ゲンダイ

 先日、新聞で紹介されていたのが、ラグビー選手、流大さん(サントリーサンゴリアス所属)の料理の写真。本来、トップリーグのシーズン真っ最中ですが、3月23日に中止になり、チームの練習もなくなったため、これまで経験がほとんどなかった料理を始めたという内容でした。

 流選手のツイッターを見ると、確かに「家にいることが多いので27歳にして料理はじめました」とありました。アップされた写真は、千切り野菜のサラダやタコとワカメの酢の物、牛丼、納豆パスタ、ひじきの煮物、ちくわと野菜の炒め物など。

 スポーツ選手だけあって、タンパク質源の肉や魚、ビタミン、ミネラルが取れるたっぷりの野菜、食物繊維が豊富な海藻類など一食にさまざまな栄養素の食材が並んでいて、彩りもカラフルです。新聞には「食生活を見直すきっかけになる」とありましたが、外出自粛などで増えた自宅で過ごす時間を利用して、ぜひ読者のみなさんも料理や運動の習慣を身につけてもらいたいと思います。

■油や砂糖の量を知ることができる

 東京都在住、夫53歳、妻47歳、子供なしの高橋さんご夫婦(名前はすべて仮名)は現在、2人とも在宅勤務が主です。どちらかが出社のタイミングで何日か分の食材を買い込み、作り置きをして、昼と夜にアレンジして食べているとのこと。

 それまでは、昼はそれぞれ外食、夜も週3~4回は2人で外食していました。在宅勤務に切り替わってからは、ほぼ毎食自炊。それによって、夫の宏さんの意識が大きく変わりました。

 冒頭の流選手じゃないですが、宏さんも料理経験がほとんどなし。「料理しよう」という気持ちすらなかったのが、「外に食べに行きたくても行けないし、せっかく2人とも家にいるのだから、夜は何か作ってみようかな」という気持ちが出てきたそうです。

 作り方が分からないので、妻のアドバイスをもとに、初心者向けの料理本をインターネットで購入。レシピサイトも活用し、まずは「野菜と卵のサラダ」から作り始めました。キャベツ、ブロッコリー、ホウレンソウ、豆苗など、野菜は「その時安いもの」。ここにゆで卵を潰してマヨネーズとからしで和えれば、野菜が何であってもおいしく出来上がる――。

 最初はその1品に、豆腐、刺し身か豚肉をしゃぶしゃぶしたもの、ご飯、味噌汁(妻手製)といった献立から始まりました。1週間ほど続くと、ちょっと飽きが出てきたので、ネットで調べ、野菜料理は、「野菜を梅干しとカツオ節で和える」「卵と炒める」「すりごまと和える」「ツナとポン酢で和える」と少しずつ変化。

 豆腐も、「厚揚げを炒める」「厚揚げに味噌を塗ってオーブントースターで焼く」「油揚げをカツオ節と甘辛く煮る」とバリエーションを広げていきました。肉料理も、「ゆでる」以外に、「蒸す」「焼く」「野菜などを巻いて焼く」など。 

「簡単でいいからおかず3品」と“緩い”マイルールを決め、毎日作っていたら、妻が「おいしい!」「すごい!」と褒めてくれるのもあって楽しくなってきた。インスタグラムに料理の写真をアップすると、「料理の腕がどんどん上がっている」「食べに行きたい」と好反応なのも励みになった。

 リビングのテーブルで夫婦2人顔を突き合わせて1日仕事をしていると、だんだんあぐんできたりもするものですが、「きょう何を作ろうか」と考えたり、レシピをチェックしたり、または妻に「小松菜があるんだけど、どういう料理がいいかな」と相談することが、ちょうどいい気分転換になったそうです。

 食事は体をつくる重要な要素。自分で献立を考え、料理をすることで、どれくらいの食材を1回の食事で取っているか知ることができます。また、料理の内容によっては見た目以上に油や砂糖を使っているものがあり、それも自分で作るようになれば分かります。

 結果、外食時もメニューを選ぶ時に「これは油多めだからきょうは避けよう」「さっぱりめの副菜と組み合わせよう」などと考えられるようになります。もちろん食後のデザートとアルコールには気を付けてください。

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事