アビガン開発者・白木公康氏に聞く 新型コロナとの戦い方

アビガン開発者で富山大学名誉教授の白木公康氏(左・アビガンの錠剤=ロイター)/(C)日刊ゲンダイ
「早期に投与すれば重症化を避けられる」

 新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として注目される、国産の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)が、5月中にも薬事承認されそうだ。安倍首相が同4日の記者会見で明らかにした。同剤の共同開発者である富山大学名誉教授の白木公康氏(千里金蘭大学副学長)に取材した。

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 ――なぜ抗インフルエンザ薬のアビガンが新型コロナウイルス感染症に効くのですか?

 インフルエンザや新型コロナのウイルスは遺伝子にDNAでなくRNAを持っているからです。アビガンは、細胞内に侵入したウイルスが、RNAの複製に必要な酵素「RNAポリメラーゼ」によく似た構造をしています。ウイルスが間違えてアビガンを取り込むと、RNAのコピーができなくなり増殖が止まるのです。RNAウイルスは同じような仕組みで増殖するものが多いため、昔からインフルエンザ以外のRNAウイルス感染症にもアビガンは有効だと考えられてきました。実際、2014年には、ギニアでエボラ出血熱の患者に投与して死亡率を下げたとの研究報告があります。

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