では、もし手術延期を通告されたら、どうすべきか。患者さんの不安はそこだと思います。
それぞれの事情によって異なるので一概にはいえませんが、大筋の考え方として、延期でも、手術が行われるなら、それぞれのスケジュールで手術を受けるべきだと思います。ただし、3カ月以上など大幅に遅れるなら、放射線治療の可能性を主治医に相談するといいでしょう。
放射線治療あるいは化学放射線治療の可能性を確認すべきなのは、がんの種類でいうと、頭頚部がん、食道がん、肺がん、子宮頚がん、前立腺がんなどです。
女性に多い甲状腺がんと男性の前立腺がんは、穏やかなタイプがあり、そもそも手術を急ぐ必要がないことも珍しくありません。韓国では、手術不要な甲状腺がんを手術したことで、検査による甲状腺がんの掘り起こしが社会問題になったことがあります。前立腺がんで穏やかなタイプなら、治療せず血液検査でマーカーのPSAをフォローする待機療法があることが、手術を急がなくていいことを物語っているでしょう。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵