医師は毎日摂取 コロナ予防対策に役立つ2つのサプリとは

国内初のコロナ治療薬だが対象は重症患者のみ(エボラ出血熱治療薬「レムデシビル」 )/
国内初のコロナ治療薬だが対象は重症患者のみ(エボラ出血熱治療薬「レムデシビル」 )/(C)ロイター

 国内で初めての新型コロナウイルスの治療薬として、「レムデシビル(商品名べクルリー)」が7日に承認された。

 当然ながら、新型コロナウイルス感染者のすべてに投与される薬ではない。対象は、人工心肺装置や人工呼吸器などを使っている重症患者のみ。しかも、重篤な副作用のリスクもある。「むしろ、多くの人に役立つ予防対策として、着目したいのは、亜鉛とケルセチンです」と言うのは、脳科学専門医で海外のアルツハイマー病ジャーナルの編集委員長を務める有松医科歯科クリニック(金沢市)医師の山嶋哲盛氏だ。

 亜鉛は牡蠣やうなぎに豊富な成分で、ケルセチンはタマネギに豊富に含まれる。いずれも手軽に手に入るサプリメントだ。山嶋医師は職責上、常に最新医学情報を英文の論文でチェックしている。そういった中、新型コロナウイルス対策として亜鉛とケルセチンの学術論文に注目し、予防のために、妻子と共に亜鉛とケルセチンのサプリメントを毎日摂取し、患者にも勧めている。

 亜鉛は、病気や老化などに関係する細胞内の活性酸素を分解する酵素(SOD)の中核をなす構成要素。しかし加齢と共に減少しがちで、不足すると免疫力の低下や味覚障害・抑うつ症状などが出る。実は高齢者に亜鉛欠乏症が起こりやすいが、病院や介護施設では本症は見逃されることが多い。

「SARS(重症急性呼吸器症候群)の研究で、亜鉛はウイルスのタンパク合成システムのRNA転写因子RdRpを阻害し、ウイルスの増殖を抑制することが明らかになりました。分かりやすく言えば、ウイルスはヒトの細胞が持つタンパク合成システムを横取りして、自分のRNAとタンパクを量産する。新型コロナウイルスは遺伝子構造がSARSと酷似している同系のRNAウイルスなので、亜鉛が新型コロナウイルスの増殖も抑制する可能性が十分考えられるのです」(山嶋哲盛氏)

■副作用の心配なし

 つまり、適量の亜鉛を積極的に取っていれば、新型コロナの予防になる可能性がある。ただ、食品やサプリメントで摂取しても、亜鉛は電気を帯びているため細胞内には取り込まれにくい。それを助けるのが、ケルセチンなのだ。

 現在、抗マラリア薬「塩酸クロロキン」も、新型コロナウイルスに対する臨床研究が行われている。塩酸クロロキンにも、亜鉛を細胞内に取り込む作用があることが分かっている。トランプ大統領が「画期的な薬」と言ったことで注目されたが、実際に効果があるかははっきりとしておらず、さらに患者の心拍に異常をきたすという副作用の報告もある。

「その点、亜鉛もケルセチンも食品成分であり、本質的に副作用の心配はありません。新型コロナウイルスに効くか否かについて、現時点でたとえ結論が出ていなくても、自己防衛策として試しておく価値は十分あると思います。新型コロナの初期症状の一つに味覚障害があることをもっと重視すべきです」と、山嶋医師は熱く語る。

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