在宅勤務で腰痛が辛い…解消のコツは座る姿勢とストレッチ

(C)日刊ゲンダイ

「在宅勤務2日目で腰痛がひどすぎ」「ローテーブルでのデスクワークはもう限界。腰痛がつらくて仕事に集中できない」……。今、腰痛に悩む人が急激に増えている。どう対策を講じればいいのか?青山一丁目カイロプラクティック院の山口博院長に聞いた。

「外出自粛が言われ始めた3月末くらいから、腰痛に関する問い合わせが増えています。治っていた腰痛が再発した人も少なくありません」(山口院長=以下同)

 なぜ、外出自粛で腰痛が悪化するのか? ひとつは、活動量が激減することが挙げられる。起きてから一日の行動を考えると、出社・帰社する時は交通機関を利用し、社内ではコピーを取りに行ったり、会議室に移動したり、用件を上司や同僚に伝えに行ったりと歩き回る。昼食、夜の会食も「移動」が必要だ。

「歩いて筋肉を動かすことで血流が良くなります。ところが外出自粛と在宅勤務によって、一日中、体をあまり動かさないでいると、関節の動きが悪くなり、椅子に座っている時の背筋を丸めた姿勢、体を左右に歪めた姿勢が定着してしまいます。筋肉も疲労状態となり、乳酸などの疲労物質がたまり、神経を刺激して痛みに結びつくのです」

 では、在宅勤務中、背筋をピンと伸ばして座っていれば、腰痛などは起こらないのか? それは違うと山口院長は言う。

「“腰痛を起こしやすい背筋を丸めた姿勢”を取り続けるのも良くないですが、“腰痛が起こりにくい、誰が見ても背筋が伸びたいい姿勢”を取り続けるのも腰痛の原因になります。つまり、筋肉を長時間動かさないでいることが問題なのであって、関節や血流に悪影響が起こって凝りや痛み、疲労感などの原因になるのです」

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クッションやバスタオルを使う

 具体的な対策は次の通りだ。

■座る姿勢を工夫する

 腰の筋肉にかかる重さは、立っている時で体重の約1・5倍、背筋を伸ばした状態で座っている時で体重の約2倍、背筋や腰を丸めた状態で座っている時で体重の約3倍になる。

「70キロの体重の人なら、腰を丸めて座ると200キロの重さがかかることになります。医師によっては3倍以上の260キロの重さがかかっていると言う人もいます」

 前述の通り、背筋を伸ばした状態は腰痛を起こしにくいが、それを「自力」で維持し続けるのも腰痛を招く。そこで、硬めのクッションや枕などを椅子の背もたれと腰・骨盤の間に入れる。クッション、またはバスタオルを折り曲げたものを、お尻の後方に入れるのもいい(写真A)。

「ストンと体の力を抜いても極端に骨盤が下がって、腰や背中が丸まらないようにすることが目的です」

■ストレッチを取り入れる

①腰に手のひらを当てて息を吸いながら骨盤を起こし、手のひらで腰を支えたままゆっくり息を吐いて腰を落とす。

②骨盤と背筋を伸ばしながら息を吸い、吐きながら右側に倒す(写真B)。息を吸いながら体を起こして、吐きながら左側に倒す。

③立ち上がり、腰の後ろで手を組むか、手の甲か手のひらを腰に当てて、ゆっくり背中を反らす。反りすぎないように気をつける。

「背中にクッションを当てるなどどんな工夫をしても、椅子に座る時間が一定時間過ぎたら、背筋は丸まる。1時間から1時間半座ったら、ストレッチで腰を伸ばしたり動かすことが腰痛改善につながります」

 あすは、現在の自宅の環境で、腰痛をできる限り起こさない工夫を紹介する。

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