今こそ知っておきたい抗ウイルス薬

適切な薬を選択するには感染症の正確な「分類」が重要

写真はイメージ
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 新型コロナウイルス感染症も、ウイルスが感染することによって症状が引き起こされる病気=感染症の一種です。乗り切るためにも、ウイルス感染症とウイルス感染症に用いられる薬についてまとめておさらいします。

 感染症は手術のような外科治療では治すことができないため、薬が治療の主役といっても過言ではありません。ですから、感染症を治療する上で「薬の選択」はとても大切になります。

 最適な薬を選ぶためには、まず感染症の原因となっている微生物について知り、これまでの研究をもとにした分類に従って適正に分類することが重要です。加えて、患者の状態に合わせて薬を選択するということになります。

 まずは感染症の「分類」を知る必要があります。感染症はさまざまな切り口で分類することができます。

 たとえば、「病原体」「感染部位」「感染経路」などが主な項目として挙げられます。これらは薬の選択や予防法に関わる分類ですが、それら以外にも「対応」に関わるものとして、「感染症法」という法律に基づいた分類もあります。この分類は直接治療には関係ありませんが、感染者発見時の対応(届け出義務)や入院勧告などの対応に影響します。

 感染症法に基づく分類には、1~5類感染症と指定感染症があり、新型コロナウイルス感染症は指定感染症にあたります。指定感染症に分類されることで、医師は発見し次第、たとえ患者が無症状であったとしても、確定診断のついていない疑いレベルであったとしても、直ちに届け出なくてはならない義務が発生します。

 感染症法は感染拡大を防ぐための法律といえます。つまり、感染症法で分類されるということは、国が本気で感染拡大を防止しようという意気込みの表れともとれるわけです。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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