新型コロナ血栓の怖さと対処法 死因は肺炎だけではない

(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 最も多かったのが、肺塞栓症(PE)だ。下肢深部静脈血栓が飛ぶことで肺に向かう血液の流れが止まり、呼吸困難を引き起こす。

 高齢と血液の固まりやすさを示すプロトロンビン時間(PT)の延長が、血栓症の起こりやすさに関係していた。健康そうに見えるCOVID―19患者が突然倒れ、血液の深刻な酸素不足に陥るのはこれが原因のひとつと考えられる。

 COVID―19で血栓ができるメカニズムは現段階では次のような可能性が考えられている。

(1)新型コロナウイルスが血管内皮に感染して炎症を起こすことがしばしばあり、微小血管などで血栓ができやすくなる。

(2)感染により敗血症や間質性肺炎になると、酸化ストレスが強まるが、これは微小血栓ができる播種性血管内凝固症候群(DIC)の発症に関係する。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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