がんと向き合い生きていく

「コロナで死ぬのは嫌」気になる患者と初めて言葉を交わした

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 56歳で独身のGさん(男性)は、50歳のときに公務員を辞めて山里の古民家に移住し、畑仕事を始めました。山を眺めながら土をいじっているのが幸せで、時間を忘れて過ごしました。

 ジャガイモやサツマイモは苗芋を植えてそのまま放っておいても、秋に掘ってみると芋の塊が続々と出てくるのが面白く不思議でした。そして、とてもおいしいのです。

 ほかにも、ネギ、トマト、エンドウなど、畑の恵みに感謝して暮らしていました。

 3年前の春、ときどき腹痛があるので近くの病院でCT検査を受けたところ、腹の中に瘤が何個も見つかり、都内のN病院を紹介されました。外科に入院して一部を手術した結果、「ろ胞性悪性リンパ腫」と診断されました。

 その後、腫瘍内科に移り、薬での治療が効いて瘤は小さくなりました。いまは腫瘍内科外来に通院中です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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