専門医が教える パンツの中の秘密

「精索静脈瘤」とは“冷却装置”の故障で精子が劣化する病気

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■根治には手術が必要

 自覚症状は座位での陰嚢の鈍痛や違和感など。ただし、精索静脈瘤自体は一般男性の約15%に認められるとされています。

 男性不妊患者に絞ると全体の40%以上に見受けられ、後天的に徐々に進行するので2人目不妊の78%は精索静脈瘤が原因とされています。

 精索静脈瘤は、静脈の構造上90%以上は左側の陰嚢に発症します。それを疑うには、陰嚢に表れるいくつかのポイントがあります。発症した側の陰嚢に常に温かい血液がとどまっているので、それを冷やそうとして陰嚢が常に垂れ下がっている状態になるのです。

 それから、陰嚢の大きさに左右差があると、大きい方の陰嚢に精索静脈瘤がある可能性があります。

 陰嚢を触ってみると、精巣のそばにグニュグニュとしたうどんのようなコブに触れることができます。また、精巣の大きさにも左右差が出てきます。精索静脈瘤ができると陰嚢は大きくなりますが、精巣は小さくなります。ただし、精巣が急に大きくなった場合は、精巣水瘤や精巣腫瘍の可能性も考えられるので要注意です。

 いずれにしても男性不妊の原因と診断されれば治療の対象となります。精子の質を良くするには、サプリメントや漢方が使われます。根治するには手術(術式で保険適用あり)が行われます。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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