時間栄養学と旬の食材

グレープフルーツ摂取後は注意…紫外線を吸収しやすい体に

グレープフルーツ
グレープフルーツ

 グレープフルーツはアメリカのフロリダや南アフリカ、イスラエル、メキシコなどで栽培される亜熱帯原産の果物です。グレープとはブドウの意味でブドウのように果実をたくさん含んだ果物であることからその名がつけられました。国内でも生産されていますが、市場に出回る量は少なく、輸入品がほとんどです。

 一年中、スーパーなどで目にすることが多い食材です。種類も豊富で、5月下旬に旬の終わりを迎えるのはピンクグレープフルーツです。旬の終わりはピンク色が強く、リコペンが多く含まれ、抗酸化性が強く、動脈硬化やがんの予防効果があり、ビタミンCも豊富です。

■皮膚がんに要注意?

 さてグレープフルーツに代表される柑橘系の果物は栄養豊富であることが知られていますが、これからの季節は取りすぎには注意した方がいいかもしれません。1週間に2~4回、果実や、ジュースを飲んだ人は、1週間に2回未満しか取らない人に比べて皮膚がんの発症リスクが10%増加。1日平均1.5回以上取った人だと36%も上昇するとの研究論文が米国で発表されています。

 なぜ、皮膚がんのリスクが上がってしまうのでしょうか? それは「柑橘系の果物などに多く含まれる光毒性物質である『フロクマリン』や『ソラレン』が紫外線への感受性を高めて、人の皮膚細胞を傷付けやすくしてしまうから」だと報告されています。

 しかし、あまり神経質になって、グレープフルーツをはじめとした柑橘系の果物の摂取を避けてしまうと、逆にビタミンや栄養素不足で健康を損なってしまう人もいるかもしれません。ではどう取ればいいのでしょうか?

 この報告には言及されていなかったのですが、紫外線の感受性を高める成分は、摂取後2~5時間で体が紫外線を吸収しやすい状態になります。つまり、朝取らずに夜取ることで、寝ている間に分解してくれるというわけです。もし朝に取った場合は、紫外線対策をしっかりして出かけましょう。

 なお、グレープフルーツは特に降圧剤に使われるカルシウム拮抗剤との食べ合わせを禁じています。一緒に服用すると薬が効きすぎてしまう可能性が高いので、服用中の薬がある人は食べ合わせには十分注意しましょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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