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コロナでも患者は減らず 精神科受診は特別なことではない

早めに専門医を受診すること
早めに専門医を受診すること

 新型コロナウイルス感染への警戒心からか、多くの医療機関で一般受診者の数が減少しているという。そんな中、医療機関で外来診療を行っている精神科医、また個人クリニックを営んでいる精神科医は異口同音に言う。「患者さんの数は減っていない」と。

 また、軽いうつ病で通院中のある女性も「外出自粛中なのに病院が混んでいた」と驚く。先行きが不透明な状況下、精神の不調を抱える人々にとっては、通院は不要不急の外出ではなく、きわめて切実な問題だということなのだろう。

 日本において精神疾患で医療機関を受診する人の数は、年々大幅な増加傾向にある。厚労省の資料「患者調査」によれば、2017年の総患者数は419万3000人。14年が392万4000人だから、3年で26万9000人増加していることになる。17年の日本の総人口が約1億2670万6000人(総務省統計)だから、約30人に1人が精神科を受診している計算だ。

 近年、受診に対する抵抗感や周りの偏見が減少したことも患者数増加と無関係ではないだろう。

 内訳は、数の多い順にうつ病、統合失調症、不安障害、認知症だが、ここ数年はうつ病や認知症の増加が目立つ。うつ病にせよ、認知症にせよ、精神疾患においては、症状を「気分のせい」とか「性格のせい」などと考えずに「病気なのだ」と自覚し、早めに専門医を受診することが肝要だ。とくにうつ病患者の場合、ひとりだけで悩み、自分を責めるだけで受診を遅らせ、病状を悪化させる傾向があるといわれる。

 現代の医学においては、うつ病の大部分は完治する疾病だし、認知症も進行を遅らせることは可能だということを覚えておいたほうがいい。精神科受診は特別なことではないのだ。

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