コロナって?親は子供が理解できるように説明していますか

遊び回れずストレスをためる子どもが多い
遊び回れずストレスをためる子どもが多い(C)日刊ゲンダイ

 緊急事態宣言が解除されても、そしてアフターコロナも、すぐに日常が戻ってくるわけではない。続く環境の変化は、子どもにストレスを与える。親が知っておくべきことを、国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科の田中恭子医師(診療部長)に聞いた。

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「通常は家庭外で過ごしていた時間を家庭内で親と一緒に過ごすようになった。安心感がある一方で、非日常が続くことによるストレスは大きい。さらに、目に見えないウイルスへの不安や恐怖がよりストレスを大きくしています」

 幼児期や小学校低学年などは、自分の気持ちをうまく表現できない。その場合、食欲低下、夜眠れない、怖い夢を見る、落ち着きがない、イライラしたり攻撃的になる、おねしょや便秘、親にまとわりつくなどの赤ちゃん返りといったことが見られるようになる。

「大事なのは、新型コロナウイルスがどういうものかを、子どもの年齢に合った言葉で説明することです。4~7歳くらいは自分の視点が中心にあり(自己中心性)、たとえばコロナであれば『自分が悪いことをしたから』と捉えてしまう。自己中心性は正常な発達段階ですが、それからくる誤解が続くと、よりストレスが強くなります」

 医療機関や公的機関が、コロナについて子どもも理解しやすい漫画や動画を公開しているので、利用するといい。

■不安がっているからと過度に構うのは逆効果

 子どもの一人の時間を確保することも重要。

「子どもと親が離れる時間を一定時間つくることが、自立を促します。在宅勤務中、子どもが赤ちゃん返りでまとわりついてきても『お父さん、お母さんは仕事の時間だから、この時間まで待っててね』など、子どもとの関わりにメリハリをつける。一人で過ごせるスキルを覚えさせていくことも大事な関わりです」

 子どもが思春期以降の場合、四六時中一緒にいることを、親も子どももストレスに感じるケースは多い。お互いにプライベートな時間を持つようにする。

 外出自粛による運動不足は、筋力低下だけでなく自律神経の乱れにもつながる。特に思春期は自律神経が乱れやすい時期なので、意識して運動不足を解消すべきだ。

「患者さんの話を聞くと、ラジオ体操、筋トレや階段の上り下り、家の中でできるバドミントンやヨガなど、みなさん、工夫を凝らしています。フラフープや縄跳び、ユーチューブを見て好きな歌手のダンスをコピーして踊るのもいい。親から誘って、親子一緒にするのもお勧めです」

 受験が間近な年代の子どもでは、勉強の進捗度が気になる。しかし、「勉強しなさい」とガミガミ言うのはNG。

「子ども自身が『勉強は大丈夫か』と不安になっています。どういうスケジュールで勉強を進めていくかを子どもに決めさせ、親はサポートする形に回るべきです」

 子どものゲーム依存症も心配だ。

「自分に合った楽しいことが奪われると、ゲームをしているときだけが安心・安全と感じ、その繰り返しで依存になることもあります。しかし、今は日常が奪われ、仕方なくゲームをしている子どもも多いはず。日常が戻れば、自然とゲームの時間は減ると考えています」

 発達障害などで集団生活にうまく馴染めない子どもにとっては、コロナによる休校が苦痛ではないことも。むしろ心配なのは、学校再開後。無理に登校を促さず、「1時間だけ出席する」「保健室で過ごす」など、子どものペースに合わせて柔軟に対応する。

 コロナとの付き合いは長期戦になるだろう。親も子どもも心身の健康を第一に過ごしていこう。

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