中高年の正しい眠り方

睡眠の満足度を上げるために注意するべき「3つの行動」

夜中に目覚めても時間は確認しない
夜中に目覚めても時間は確認しない(C)PIXTA

 睡眠の「質」や「時間」に問題がなくても、本人の「満足度」が低いと睡眠の悩みは続きます。とくに若い頃よりも必要な睡眠時間が短くなっている中高年の場合は不満が募りやすく、満足度を高めるために具体的な対策が重要になります。

 睡眠外来などでは、満足度を向上させるために3つの行動に注意してもらうようにしています。

①早い時間にベッドに入らない

②夜中に目が覚めても時計を確認しない

③早い時間に目覚めたとしても早く行動を始めない

 この3つです。

 身体的な障害によるものではなく、睡眠に悩んでいる中高年の方に質問をすると、「少しでも長く寝たいからと早くベッドに入っていませんか?」「夜中に目覚めた時、何時か確認するために時計を見ていませんか?」「早く起きすぎて時間を持て余し、早く行動を始めていませんか?」という3つの項目にイエスと回答する人がほとんどです。熟睡したいと考えて実行しているこの3つの行動が、逆に満足度を下げてしまっていることに気が付いていないのです。

①長く寝ようとして早い時間にベッドに入ると、逆にいつまでも寝付けなくて焦ってしまい、どんどん眠れなくなっていきます。ですから、横になって15分眠れなければ、いったんベッドから出てしまいましょう。ベッドの外では軽く体を動かすなどして、眠くなってからベッドに入るよう心掛けてください。

■夜中に目覚めても時計を見てはいけない

 また、早い時間に就寝すると、早く起きすぎてしまうことにつながります。その場合、逆にいつもより就寝を30分遅らせて、起床を後にずらします。これでうまく睡眠リズムがずれる人は、起きたい時間に合わせて30分単位で就寝を遅らせていけばいいのです。

②夜中に目覚めた時に時計を見て「○時に起きた」と確認する行動を繰り返すと、脳に「○時に起床する」というプログラムが組まれてしまいます。すると、脳はその時間に合わせて覚醒を促すコルチゾールというホルモンの分泌をスタートさせ、夜中の同じ時間に目覚めやすくなってしまうのです。起床する時間までは時計を目に入れないようにしましょう。

③予定より早く起きすぎてしまった時、すぐに行動して光を浴びてしまうと、脳はその時間が朝だと認識して、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌リズムを早めます。メラトニンは、網膜が光を感知した時点で分泌が止まり、その16時間後に分泌量が増えていくリズムがあるので、その分、夜に眠くなる時間が早まって、目覚める時間も早くなってしまうのです。

 早く起きすぎても起床予定の時間までは部屋の照明はつけずに暗い中で過ごし、起床時間になったらカーテンを開けて照明をつけ、脳に光を届けましょう。

 睡眠に悩んでいる中高年の方は、まずこの3つの行動を心掛けてみてください。2週間続けると、睡眠の満足度が高くなります。

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