Dr.中川 がんサバイバーの知恵

検診で注意 病院が胃カメラからバリウムに変更を促す理由

内視鏡では難治性のスキルスを見つけにくい(C)PIXTA

 胃がんの中でも難治性といわれるスキルス性胃がんは、胃カメラでは発見しにくく、バリウムの方が見つけやすい。胃がんの検査では、胃カメラの有効性が知られていますが、ことスキルス性に限っては、バリウムの方がいい。この先も何年かに1回は、胃カメラの人もバリウムを受けるとよいでしょう。

 胃カメラについては、もうひとつあります。胃カメラの器具そのものを介した感染です。実はこれ、新型コロナとは別の話で、かつては器具を介してピロリ菌やB型肝炎ウイルスなどの感染が問題になりました。

 もちろん、過去の教訓から今では器具の洗浄や消毒がしっかりなされていて、そういう細菌やウイルスの感染リスクはほとんどありません。当たり前のことをしっかりやっているだけですが、HPなどで消毒の徹底をアピールしている施設もあります。胃カメラ検査での感染が心配な方は、ガイドラインに沿った器具の消毒を徹底しているか確認するとよいでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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