第2波に備えよ 新型コロナを徹底検証

<4>なぜ高齢者は感染しやすく重症化しやすいのか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 免疫システムは自分の細胞を攻撃しない。ウイルスはその性質を利用して細胞内に逃げ込むことで攻撃を回避。免疫が油断している間に細胞内で爆発的にその数を増やし、一気に細胞外に出て感染拡大する。

 むろん、人の免疫防御態勢もバカではない。ウイルスが感染した細胞は、そのことを周囲に知らせるシグナルを細胞表面に出す。それを目指して獲得免疫を担うキラーT細胞などが攻撃を仕掛けて感染した細胞ごとウイルスを破壊する。また、新型コロナウイルスは、この細胞表面に表れるシグナルを出させない機能と免疫を撹乱する能力を持っているらしい。

「ウイルスが体内の細胞に感染すると、通常はインターフェロンが作られます。インターフェロンとはウイルスが増えるのを抑え、免疫反応や炎症の調整をする生理活性物質(サイトカイン)の一種です。新型コロナウイルスは、このインターフェロンのシグナル伝達に必要なSTAT1タンパク質の働きを阻害し、インターフェロンができるのを抑制するというのです。そして感染した細胞は、そのことを周囲に知らせることができなくなってしまうばかりか、免疫細胞の敵味方の区別を見誤らせることで、自身の体を攻撃させるのです」

3 / 4 ページ

関連記事