中高年の正しい眠り方

夜中に何度も目覚めてしまう人は就寝時間を遅らせる

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写真はイメージ(C)PIXTA

 一晩に何度も目覚めてしまって、いつも寝不足な気がする……。中高年になるとグッと増える睡眠の悩みです。

 われわれは年を取ると必要な睡眠時間が少なくなっていき、「睡眠―覚醒リズム」の幅も小さくなります。ですから、夜中に目覚める「中途覚醒」は自然な老化現象で、一晩で1回程度目覚めるくらいなら医学的に問題はなく、心配する必要はありません。

 ただし、眠り始めて30分程度で目が覚めるとか、1時間ごとに何度も起きてしまうといった場合は対策を講じた方がいいでしょう。

 睡眠は最初の3時間が最も重要です。われわれの睡眠はおよそ90分(80~120分)のサイクルで深くなったり浅くなったりしています。深い睡眠は最初の2サイクルまでしか見られないので、眠り始めの最初の3時間にまとまって深く眠れているかが大切なのです。

 就寝から3時間たっていないのに何度も目覚めてしまう人は、まず夜中に目覚めたときに時計を見ないようにしましょう。目が覚めて「まだ○時か……」と確認する行動を繰り返すと、脳に「○時に起床する」というプログラムが組まれます。脳はその時間に合わせて覚醒を促すホルモンであるコルチゾールの分泌をスタートさせ、同じ時間に目覚めやすくなってしまうのです。

 そのうえで、「今度は睡眠―覚醒リズム」を整えます。まずは就寝する時間を遅らせて、夜中に目覚めずに済むかどうかを試してみましょう。

 たとえば、夜中3時に就寝してみて、朝7時までの間に1回程度の目覚めだけで眠れたら、翌日も夜中3時に就寝します。その日も同じように眠れたらそのまま2週間固定し、その後は30分単位で就寝を早めます。今回の例では、夜中2時30分に就寝です。うまく眠れたら、さらに2時、1時30分、1時……といった具合に就寝時間を早めていきます。

 その最中、夜中に2回以上目覚めてしまったら、その日の前の就寝時間に固定します。たとえば夜中1時に就寝して朝7時に起床するまでに2回以上起きてしまったら、1時30分の就寝に戻すのです。戻した就寝時間は4日固定し、うまく眠れたら再び30分ずつ就寝を早めていきます。これを繰り返すと「睡眠―覚醒リズム」が整い、分散していた睡眠をひとまとまりにすることができます。目標の起床時間まで何度も目覚めてしまうケースを減らせるのです。

 最初はあえて就寝を遅らせるわけですから、翌日は睡眠不足になります。昼間に眠気を感じる人も多いでしょうが、居眠りしてしまうとリズムが崩れてしまうので、少しがんばって居眠りはガマンしましょう。ちょっとつらいかもしれませんが、夜中の不快な時間を減らして満足できる睡眠を得るために取り組んでみてください。

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