死なせる医療 訪問診療医が立ち会った人生の最期

450人以上の死に寄り添ってきた訪問診療医“自らの死に方”

小堀鷗一郎医師(C)日刊ゲンダイ

 定年退職を機に外科医から訪問診療医に転身した小堀さん。最初の数年間は患者やその家族に求められるまま、最期を迎える頃合いになると病院に搬送し、生き永らえるための措置をしてきた。ところが何人かの患者をみとるうちに、病院での延命が必ずしもベストとは限らないことに気がついたという。

「病院で積極的な治療を受けて延命するのか、在宅で穏やかな死を迎えるのか、それぞれの最期にはそれぞれの選択があります。訪問診療を通して患者やその家族と長く付き合っていれば、多くの情報を共有しますし、信頼関係も生まれます。そうなると患者や家族の意向を踏まえつつ納得がいく最期を迎えられるように、総合的な判断を下せるようになるのです」

 その結果、在宅でみとるケースが増えた。現在は75%が在宅死だという。

 それでは小堀さん本人は、どのような最期を迎えたいと考えているのか。450人以上の死に寄り添ってきた経験から導き出した答えはどんなものなのだろうか。

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小堀鷗一郎

小堀鷗一郎

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

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