Dr.中川 がんサバイバーの知恵

ワッキーが告白した中咽頭がん HPV陽性タイプは治りやすい

ペナルティのワッキーさん(C)日刊ゲンダイ

 咽頭がんや喉頭がんの手術では、嚥下や咀嚼、発声など生活に重要な機能が損なわれる恐れがあります。音楽プロデューサーのつんく♂さん(51)は、生きるために喉頭がんを手術で克服したことは大きな反響を呼びました。記憶に新しいでしょうが、化学放射線療法なら、発声の機能を守ることができます。俳優の村野武範さん(75)や音楽家の坂本龍一さん(68)も、声を失うことなく、仕事に復帰されています。

 多くの研究で、化学放射線療法は、手術と同等かそれ以上の治療成績であることが証明されています。HPV陽性の中咽頭がんでは、この事実は見逃せません。

 HPVはセックスが媒介するウイルスです。膣に感染するのが子宮頚がんで、喉に感染するのが中咽頭がん。その2つを結びつけるのは、オーラルセックスですから、女性の経験人数が多いほどリスクは増します。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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