日食を見て目が焼けた…視力が低下し社会的失明の可能性も

日食を見る子どもたち(C)共同通信社

 そのまま放置し、しかしなかなか元の見え方に戻らない。その時点で慌てて平松医師の元に「見え方がおかしい」と相談に来るケースが圧倒的に多いという。

 そもそも、なぜ目は太陽の光で焼けるのか? それは、目というのは水晶体というレンズを通して網膜の中心(黄斑)に光が集まるようにできているからだ。

■0.82秒以上で網膜がヤケド

「いわば虫眼鏡のような役割です。虫眼鏡で黒い紙を焼く実験をしたことがある人がいるかもしれません。これと同じように網膜上に太陽の光が集まるのです。太陽の光を直接見る時間が0・82秒を過ぎると、危険と考えられます。目(網膜)が焼けるといわれています。1秒以下ですから、本人は“ほんのちょっと見ただけ”と思っている場合でも、網膜が焼けることにつながりかねません」

 網膜が焼けると、そこが欠損し、視界の一部が見えづらくなる。治療は点眼薬や経口薬だ。視力を取り戻せる人もいるが、網膜が焼ける前と同じ程度まで戻る人は多くはない。人によっては、完全失明までいかないにしろ、社会生活を送るのに困難を感じるほどの視力低下に至る人もいる。

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