Dr.中川 がんサバイバーの知恵

石原慎太郎氏が告白 膵臓がん早期発見と治療選択ポイント

石原慎太郎元東京都知事(C)日刊ゲンダイ

 膵臓がんが難治がんなのは、早期で見つかりにくいためです。治癒が期待できるステージ1での発見率はわずか1割ですが、“一がん息災”というか、東大病院の調査では、肝臓がんの治療で見つかる膵臓がんは6割がステージ1でした。

 肝臓がんの再発チェックで、CT検査を頻回に行うため、早期の膵臓がんが見つかりやすいのです。

 私が早期の膀胱がんを見つけたのも、自分で脂肪肝をチェックするためのエコー検査でした。石原さんも一病息災、膵臓がんの大きさが2センチのステージ1で早期発見できています。

 メタボが増える今、脂肪肝の人は珍しくありません。脂肪肝だと、保険でエコーやCT、MRIを受けられます。そのときに「膵臓もしっかりチェックしてください」とお願いすること。それが、早期発見のための重要なポイントです。

 もう一つは、治療法の選択で、放射線の一つ陽子線を選んでいます。ステージ1は切除が可能で、通常は手術が第一選択ですが、手術の問題点が取り残し。局所に再発したり、転移したりしやすく、5年生存率が5割に満たないのは、そのためです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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