進化する糖尿病治療法

心不全を起こすリスクが高い50~60代で心臓の超音波を

息苦しさはひとつのサイン(C)日刊ゲンダイ

 長期的になれば心臓の負担となり、心臓の働きがますます低下します。これが「心不全」です。初期では坂道を上ったり重いものを持ったりした時などに息切れが起こるようになり、進行すると寝ている時に息苦しさを感じるようになり、さらには夜中に突然息苦しくなり、起き上がっても息苦しさが抜けないようになります。心不全は、ある段階を過ぎると、対症療法しかなく、その苦しさと付き合っていくしかありません。

■特に女性は閉経後、要注意

 冒頭の女性のように、長く病院に行っておらず、心不全を引き起こす糖尿病、高血圧にも気付かず、心筋梗塞を起こして初めて心臓の機能低下が発見された場合、心不全は相当ひどくなっていることが予想されます。医療に「もしも」は禁物ですが、息切れを感じ始めた60歳すぎで検査を受けていたら、70代ではまだまだお元気で、旅行や食事を存分に楽しめていたかもしれないのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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