毎日大さじ1杯!腸活みそ料理

梅雨時の食欲減退を防ぐ洋風みそだし 胃粘膜を守る効果も

ごはんの食べ過ぎにご注意!
ごはんの食べ過ぎにご注意!(提供写真)

 日本各地が梅雨入りし、雨の多い季節となりました。そんな季節、気になるのがカビの繁殖です。

 しかし、実は、みその麹菌もカビの一種。高温多湿な気候の日本はカビが繁殖しやすい環境ですが、見方を変えれば、麹菌や酵母のような人間にとって有用なカビも繁殖しやすい環境ともいえます。そのため、日本では昔からみそや醤油、酢、日本酒など、麹菌が活躍する発酵食品がたくさん生まれました。

 腐敗と発酵の区別は、食べものや微生物の種類、微生物の代謝産物の違いによるのではなく、人間側の視点から分けられたものです。微生物の作用のうちの人間に有用なものを発酵、有害なものを腐敗と呼んでいるのです。前にも述べましたが、発酵がもたらす最大の効果は、発酵の過程で微生物の働きにより、ビタミンやアミノ酸、短鎖脂肪酸といった栄養成分が生成され、栄養価がアップすること。

 特に、みそに特徴的な褐色のメラノイジンは強力な抗酸化物質で、これが腸内や体内の酸化や老化を抑えてくれるのです。また、大豆のタンパク質はそのままでは吸収されづらいのですが、微生物が分解してくれることで、栄養素が体内に吸収されやすくなります。

 さらに熟成されることにより風味やうま味が増すほか、発酵させた食品や飲料は保存性が高まるというメリットもあります。腐敗の進みやすい魚介類や肉類を発酵によって保存性を高めたのは、まさに人間の英知なのです。

 さて、前にも述べましたが、みそ選びのポイントのおさらいです。私は、大豆、塩、麹だけで造られ、なおかつ6カ月以上、できれば1年以上長期発酵・熟成されたものを選びます。しっかり発酵・熟成していなければ、その恩恵を十分に得ることはできないからです。さらに、育つ環境も重要です。天然醸造のみそを選ぶことです。天然醸造という造り方は、みそを加温しないで発酵熟成させる方法です。昔から、みそはこの方法で造られてきました。

 自然環境の中で季節の寒暖の影響を受けながら育つみそは、時間こそかかりますが、そのゆっくりとした時間の中でうま味成分やメラノイジンといった人間の体にいい成分が熟成されていくのです。

 近年では、木樽の天然醸造で仕込んだみそを見かける機会がほとんどなくなってしまいました。日本の食文化の伝統を守る意味でも、この製法で造られたみそがオススメです。みそは全国津々浦々、産地も種類も豊富で、スーパーでもたくさんの種類のみそが販売されていますが、ぜひ表示をよく見て、シンプルな材料、長期熟成、天然醸造などの表示があるもので色が濃いものを選んでみてください。

 今回は、ジメジメしてなにかと食欲が落ちがちな梅雨の時季にも箸がすすむ「洋風みそだし」です。「だし」は山形の郷土料理で、夏野菜を細かく刻んで味付けしたもので、白いご飯にのせて食べる夏の風物詩のレシピです。本来は鰹だしのつゆなどで味付けするのですが、私はみそで作ってみました。

 みそを使うことで、ほんのり甘く、さっぱりと仕上げることができます。素材のひとつであるオクラのネバネバ成分が弱った胃粘膜を守り、夏バテを予防してくれます。

夏野菜は刻むだけ
夏野菜は刻むだけ(提供写真)

《材料》(2人分)
黄ズッキーニ 2分の1本
ナス 小1本
オクラ 4本
ミョウガ 1本
レモン汁 大さじ1
みそ 大さじ1と2分の1

《作り方》
(1)ボウルにみそ、レモン汁を入れ、混ぜておく。
(2)黄ズッキーニ、ナス、オクラ、ミョウガをみじん切りにして①に入れ、よく混ぜる。
(3)野菜がしんなりするまで冷蔵庫で冷やして出来上がり。お好みでさらにレモン汁、または酢を加える。

関由佳

関由佳

専門は内科、予防医学。2013年ニューヨークの料理専門学校(Natural Gourmet Institute)で資格取得。著書に「毎日食べたい!腸活みそレシピ」ほか

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