今こそ知っておきたい抗ウイルス薬

抗インフルエンザ薬は患者家族の「予防」のためにも使える

抗インフルエンザ薬「タミフル」/(C)共同通信社

 抗ウイルス薬が効果を発揮する上で重要なポイントは2つです。①ウイルスは自分では増殖できず、宿主の細胞の中で増殖するため、その増殖プロセスのどこかを抑えて細胞から出てこないようにすること②ウイルスが存在している細胞(臓器)まで薬を効率よく届けること――の2点です。

 今回から具体的なウイルスとそれに対する抗ウイルス薬について紹介します。まずはインフルエンザウイルスです。

 インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型、D型の4種類に分けられます。主にヒトに流行を起こすのは、A型とB型のウイルスです。C型は免疫がほぼ一生持続するためかかりにくく、D型は家畜のみですので、ヒトはかかりません。

 一般的なインフルエンザとして頭に浮かぶのはA型です。A型とB型の違いは、A型には抗原性の異なる亜種があり、B型にはないというところです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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