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【トマト】活性酵素を除去してがんや老化を抑えてくれる

トマトに多く含まれるリコペンは油と相性が良い
トマトに多く含まれるリコペンは油と相性が良い(C)日刊ゲンダイ

 トマトは医者いらずといわれるように栄養価が豊富な食材です。価格も手ごろで一年中手に入るので馴染みがあります。

 トマトに含まれる赤い色素成分は「リコペン」です。生活習慣病予防や老化抑制に働くことが知られていますが、その中でもリコペンは、とりわけ効果が高いといわれています。

 私たちの体の中には2%程度、活性酸素が存在して、体内に入った細菌を殺したり、化学物質を無毒化したりしてくれます。

 ところが、この活性酸素が体内で過剰になると体の正常な組織まで傷つけてしまうことがあります。

 こうした活性酸素の作用が、がんなどの生活習慣病の発症や細胞の老化を進める原因になる、といわれています。リコペンはこの活性酸素を除去する働きが強く、がんの発生や老化を予防するのに効果があるとされているのです。

 ラットやヒトの研究でリコペンを摂取した時の血中濃度を測定したところ、朝、昼、夕のうち、朝の摂取が一番リコペンを体内に取り込みやすいことがわかりました。

 リコペンは油に溶けやすい(脂溶性)ので、トマトを油で調理したり、生の場合はオイルドレッシングと一緒に食べることで体内での吸収率が上がります。

 また、ヒトにおいてトマトジュース缶3本(約160ミリリットル×3本)と焼酎甲類(ストレート約100ミリリットル)を同時摂取したところ、トマトジュースを飲んでいない場合に対して、アルコールが完全に分解される速度が上がり、血液中のアルコール量が約3割減少するという報告があります。

 さらに、リコペンに二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの働きを抑える効果があり、体内からアルコールが抜け切るまで、トマトジュースを飲んでいない場合では平均5時間、飲んだ場合では平均4.2時間となり、約50分程度早まることもわかっています。

 朝摂取がベスト! ですが、お酒を飲む時にも役立ちそうなトマト。おつまみ以外にも割り物にトマトジュース、などもいいかもしれませんね。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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